中野島ロボット

小さなロボットの自作記事を書いています。

週刊中ロボ264 純正SG90の安定動作の秘密を探る

はじめに
中野島ロボットでは主にTowerProのSG90サーボモータを使っているのですが、最近は減ってきましたが、ロック状態で使っていると意外と簡単に故障してしまいます。多くの場合はモーターが焼けて使えなくなったり、モータは無事でもケースが熱で変形して歯車が空回りしてしまいますが、多くの場合内部の回路は部品として再利用可能です。今回はSG90内部の回路を追っかけてみました。

分解
SG90を分解して内部のモータと基盤を取り外します。このときポテンショメータ(角度計測用)の配線は切ってしまいます。
制御信号が入るほうをおもて面とします。表面には制御信号ケーブルとモーターがつながっていてICが一個乗っています。このICはなんとなくモータ駆動用のHブリッジのようです。

裏面は角度取得用のポテンショメータとICが一個と、トランジスタのような半導体が乗っています。ICはマイコンでしょう。

ケーブルを半田ゴテで外すと基盤単体になります。こっちは表面。

こっちは裏面です。

パターン確認
パターンの確認のために半導体部品を取り外します。

ICを外した基板を拡大するとこんな感じです。これは表面。コンデンサとチップ抵抗が二個です。

こっちが裏面。コンデンサが二個です。

部品表
この状態からSG90電気部品表を起こしてみました。

 U1 FZ-9G 8ビットマイコン(たぶん)
 U2 FZMOS-2 モーターコントローラー
 U3 V1NI 3.3V定電圧レギュレータ
 R1 473 47kΩ
 R2 204  200kΩ
 C1 - 表面 5V電源平滑用
 C2 - 裏面下側 3.3V電源平滑用
 C3 - 裏面上側 ポテンショメータのノイズ除去用
 P1 基盤
 M1 モーター
 POT1 可変抵抗 

考察
U1はSOP 8Pinのマイコンだと思うのですが、チップにはマーキングが無く正式な型番はわかりませんが、基盤にはFG-9Gと表示されているので今後はFG-9Gとします。SG90のマイコンの情報をネットで結構探したのですが見つけることができませんでした。
ピンの接続先は以下となっていました。

 1 GND
 2 PWM入力
 3 GND
 4 AD ポテンショメータ入力
 5 電源 3.3V
 6 電源 3.3V
 7 OUT2 U2の3ピンへ
 8 OUT1 U2の2ピンへ

ピン配列が同じマイコンが見つかれば、交換したり特性を変えたりすることができるはずと思い、さらに同じ電源ピン配列のマイコンを探したのですが、このピン配列のマイコンを探すことができませんででした。なのでU1が壊れた場合の修理は少し難しくなって、ICを逆向きに張り付けたり、空中配線をすることになります。

U2 はやはりDCモーター用のコントローラでした。単品でも入手できます。(でも高いです)
ピンの接続先は以下となっていました。

 1 EN 3.3V
 2 IN1 U1の8ピンへ
 3 IN2 U2の7ピンへ
 4 VIN 5V
 5 OUT1 モーターの+へ
 6 GND
 7 GND
 8 OUT2 モーターの−へ

U3 は MOSトランジスタかダイオードだと思っていたのですが、なんと低損失の3.3Vの電源レギュレータICでした。SOT-23の表面実装タイプで1ピンがGND、2ピンがVin、3ピンがVoutの一般的なピン配置なので探せば互換品が見つかります。

R1,R2は、U1に外部のPWM信号を入力しています。これを1:5に分圧してU1の4ピンに入力しているので、入力端子を過電圧から保護しているようです。

C1,C2,C3の容量は確認していません。そんなに壊れる部品ではないのですが、それぞれの役割は今回の調査で明確になりました。

純正SG90の安定動作の秘密発見
U3 がマイコンとポテンショメータに安定した+3.3Vを供給しています。これがSG90が互換サーボモータに比べて、電池駆動でも安定して動作する秘密のようです。電圧が多少変動しても安定化された3.3Vを使うことで、マイコンが安定して動作し、ポテンショメータが正確に角度を測れるのです。
またSG90の内部のマイコンも3.3Vなので、ロボットのコントローラの3.3Vマイコンを直接制御信号(PWM)に繋いでも問題ないことが分かりました。
おわりに
これまでの解析結果から、基盤が壊れていなければ、モーターコントローラとして再利用することができます。また故障したのがマイコン以外であれば基板を修理できそうです。安い互換サーボは、IC1個でポテンショメータが基盤直付になっているので、修理が難しいのですがSG90の基板は修理が可能で、部品も外せば他の用途に再利用が可能な部品が使われていることが分かりました。
純正SG90が安定動作する秘密も分かったので、少し値段が高いのはしょうがないかなと思います。

SG90から基盤を取り出し、互換サーボの基板と入れ替えるとSG90と同じように安定して動作するようになりそうですが今度試してみます。

www.nakarobo.com

おしまい

購入品情報
いまではAmazonで一個820円(送料込み)になっています。二足歩行ロボットに使うには特性の揃っている必要がありますが、もう少し値段が下がって欲しいところです。または、送料の安くなる5個セットや10個セットの復活を希望します。

参考

謎のIC「FZMOS-2」を分析してみた by nichicon | elchika