週刊 idbox!のプチ改造 No.7 冷却改造
はじめに
idbox!のヘッドと造形物の冷却を最適化するために冷却フィンの改造とファンカバーをプリントします。
必要レベル ★★★★☆
概算費用 0~1500円
idbox!はヘッドに付いている一つの冷却ファンで、ヘッドの冷却と造形物の冷却を行っていますが、idbox!はもともとABSフィラメントを想定して作られていて、PLAを印刷するには冷却が全く足りません。
ファンにカバーをつけて、冷却を強化してPLAを綺麗に印刷できるようにします。
パワーアップ編の94号に改良版の冷却フィンがついており、これに交換するのもありなのですが、Amazonでは”在庫なし”となっています。
なので、28号を買って改造するか、今付いている冷却フィンを改造して使用することになります。
また、冷却用のカバーは、ネット上に幾つかアップされていたのですが、どれもしっくりきませんでした。
idbox!は元になったBS01からファンが強化されているため、BS01の改造部品は使えません。また、あるものは過冷却となり、ABSの溶融温度まで上がらなくなってしまいました。
仕方が無いので、今回も自分でモデリングして作って行きます。
手順
1.冷却フィンの改造
冷却ファンを取り外して、冷却フィンをラジオペンチを使って折り取り、風の通り道を作ります。
風の吹き出し口にテープを貼って風向きをノズルの先端に向け、風が逃げないように周りを囲えば、PLAならこれで十分な冷却が行えます。
ABSの場合は過冷却になるので、ファンカバーが必要になります。
2.モデリング
いつものように 3D Builder を使って、ファンカバーをモデリングします。
冷却フィンのサイズを測り、以下の注意事項を考慮しつつモデリングして行きます。
・風の割合
半分がホットエンドの冷却用、半分が造形物の冷却用となるように造形します。
上半分をホットエンド用、下半分を造形物用としました。
・吹き出し形状
造形物の冷却用の風は、ノズルの先端に向かって風が吹き出すように造形して行きます。
造形物に引っかからないノズルの高さに抑える必要があります。
基本的にノズルを絞ると風速が上がるのですが、絞り過ぎると、風が流れなくなってしまいます。
・ 造形物に風が漏れて当たらないようにする。
ノズル以外の場所の造形物に風が漏れて当たると、冷えて積層割れを起こします。
ファンの下と横から風が逃げないようにカバーします。
3.プリント
ホットエンドが近いので、高温に耐えられるABSかPETGを使ってプリントします。
4.取り付け
風が漏れないように、冷却フィンに耐熱テープを貼り、冷却フィン、ファンカバー、ファン、ファンガードの順に取り付けます。
注意)idbox!のファンは高速に回転しているので、少しでもどこかに当たると羽が折れてしまうので、
ちゃんと取り付けられているか、ファンを少し回して確認して下さい。
電源を入れて、ファンが正しく回るか確認します。
5.調整
PLAなら風ストッパーを外し、ABSなら風ストッパーを利かせて印刷し、フィンのテープで覆う範囲で微調整します。特にABSは造形物に風が当たると、積層割れが発生しやすくなるので、ストッパーを利かせた時に風がヘッドや造形物にあたっていないか、手をかざしながら注意深く確認し、風が漏れているようならテープで塞ぎます。
(結局全周に貼っています。)
また、ファンカバーが造形物に当たらないか確認して、当たるようならネジを緩めて止めなおすか、削るかして下さい。
解説
そもそも3DプリンターのフィラメントはABSから始まり、PLAが後から出てきたのですが、樹脂の溶融温度が違うし、粘りも違うので、ノズルの冷却とか造形物の冷却とかプリント設定もかなり違います。
最近の3Dプリンターでは、それぞれ異なるファンで制御するのですが、idbox!は一つのファンで、ノズルの冷却と造形物の冷却を行う必要がりあり、冷却のバランスを取るのが難しく、PLAでは冷却不足となり、ABSでは過冷却になっています。
PLAはパワーアップ編の94号のヒートシンクを使えば、綺麗に印刷できるようになると思いますが、idbox!はBS01からヘッドの冷却ファンを高速化したので、ABSでは過冷却になっているようです。
また、盛大に風がフィンの下から漏れているので、造形物に風があたってしまいABSでは積層割れを起こしてしまいます。下側をカバーし、さらにテープで風の漏れを止めて、造形物を冷やさない必要があります。
おわりに
idbox!の冷却を改善して、PLAもABSもどちらもきれいに造形できるようになるプチ改造でした。
ただ、エアフローは目に見えないだけに形状の調整が難しいので、ベストのカバー作成を今後も続けて行くと思います。
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