サイコパス(PHYCHO‐PASS)というアニメーションの中の小道具、「ドミネーター」の音声再生機能を作ります。超音波スピーカーを試して見ます。といっても原理だけです。
試してガッテン
脇道に逸れたついでに、オシロスコープと発振器を使って超音波スピーカーと圧電素子の疑問を解消しておきます。
前回、超音波発信器に音声信号を入れても鳴らないと報告しましたが、発振器から5VP-Pの1KHzの信号を入れると、小さく鳴っていました。但し、圧電スピーカーに比べたら、ものすごく小さい音で1/10くらいの感覚です。
という事で、手持ちの圧電素子と超音波スピーカー、超音波マイクで噂の検証を実施しました。
その1 超音波スピーカーは、性能は落ちるが超音波マイクとしても使えるか。
検証方法 超音波スピーカに40KHzを入力し、超音波マイクで振幅値を計測します。そして、超音波マイクを超音波スピーカーに変えて振幅値を計測します。
振幅値は1/2~1/3程度になりました。
結果 使えます。
その2 圧電スピーカーは超音波スピーカーとして使えるか。
検証方法 圧電スピーカに40KHzを入力し、超音波マイクで振幅値を計測します。
超音波スピーカーの1/100 位では鳴っています。
結果 使えない。
その3 圧電素子は超音波マイクとして使えるか。
検証方法 超音波スピーカに40KHzを入力し、圧電素子をマイクとして振幅値を計測します。
ほとんど計測できない程度しか、振幅値が計測できませんでした。こっちも1/100程度といった感じです。
結果 使えない。
その4 超音波マイクは、超音波スピーカーとして使えるか。
検証方法 超音波マイクに40KHzを入力し、超音波スピーカーをマイクとして振幅値を計測します。
超音波スピーカーの1/2程度の振幅値が計測されました。
結果 使える。
その5 超音波スピーカーと超音波マイクは意外と拾い周波数を拾っているのではないか。
検証方法 超音波スピーカーに40KHzを入力し、超音波マイクの振幅値を計測します。
周波数を変えてみて、どの程度振幅値が下がるかを確認します。
1KHzずれると、半分程度に落ち、2KHzずれるとさらに半分に落ちる感じでした。3KHzずれるとほとんど反応しません。今使っている超音波スピーカーは秋月電子で売っているもので、カタログでは40KHz±1KHzとなっており、-6dB特性(出力が1/2になる位置)と一致しています。
結論 40KHz±2KHz程度のかなり範囲は狭い。
まとめ
圧電スピーカーの周波数特性は上には伸びていませんでした。また、超音波スピーカーと超音波マイクもそれぞれ40KHzに良くチューニングされているようです。
超音波マイクの圧電素子は特に薄く40KHzの振動を良く拾うようにできているようです。
確かに1KHz程度の音声帯域を周波数変調すれば、振幅を制御できるかもしれません。
もし、圧電素子(ピエゾ素子)が超音波スピーカーや超音波マイク代わりに使えたら、値段も安いし、いろいろ楽しめると思ったのですが、残念ながらそうはいきませんでした。外径が似たようなものなので、もうちょっとダラダラとした周波数特性があるのかと思っていましたが、意外と40KHz(超音波)と10KHz(音声)用の素子では違いがありました。
また、超音波スピーカーと超音波マイクの特性の違いも意外と大きかったので、素直に専用品を使った方が良いと思います。
つづく
(まだまだドミネーターから逸れて行きます・・・)
購入品情報
中野島ロボットが購入済みのピエゾ素子はこの二つです。
ピックアップ用の圧電素子は、発音用の圧電素子より厚くできている気がします。