I氏の登場
そんな暗澹たる時代に、偶然が重なりJ国の首相になってしまったのがI氏だった。
I氏はそのナマケモノのような風貌と口下手なところから、なかなか他人がI氏の主張を理解することができなかったが、あまりに小さな政治家が激しく選挙戦を展開したため、ぽっかり空いた隙間を埋めるように、I氏が突然首相になってしまったのだった。
I氏の主張は簡単で、自国のことは自国で責任をもって対処し、世襲や忖度や出自によらず、夢や野心や努力が報われるシンプルな規制の社会を作る事だった。
I氏の理想の社会を実現するには、富の再分配も必要で、地方創生や、エネルギー問題や、食料の自給問題、対立する隣国問題などを多くの課題を解決しなければならなかった。最初に実施したのは首都機能を地方に移設することで、I氏の首都と呼ばれた。

両者の対立
両者はことある事に対立していった。例えば当時の税制は大企業が大きく優遇されていたが、利益に対して課税される方式であったため、利益を投資等に回してしまうとどんな大企業でも税金を一銭も払う必要がなかった。また、涙ばかりの慈善事業や社会貢献活動の見返りに、課税を逃れる抜け穴がいくつも用意されていた。
またあらゆる抜け穴を用意しており、利益をため込む既得権益の保護構造ができあがっており、I氏の目論見はことごとくつぶされていたのだった。

つづく
