夏休み工作のアイデアは自分で考えるのが基本ですが、「イチジク」で何ができるか考えてみます。
MINERVA-II2を参考に
「MINERVA-II2」は、東北大学が中心となって開発したJAXAの「はやぶさ2」に搭載されている探査機(ローバー)です。特に微小重力下の移動方法の技術確認用に、色々な移動手段を搭載しています。
その4 永久磁石を用いた内部衝撃型移動機構 つづき
この機構はちょっと言葉の解説では判り難いので少し解説を探してみました。
良い解説ページを見つけました。
永久磁石型撃力発生機構
と言うようで、東京電機大学が作成を担当し、DCモーターで駆動し、”永久磁石の平衡をずらし、内部で衝突力を発生”させるものだそうです。
また
2015年12月7日に大阪大学で行われたMINERBA-II2の講演会資料
http://www-dsc.mech.eng.osaka-u.ac.jp/SFRI/files/space_flight_seminar04.pdf
には
・永久磁石を用いた跳躍機構の開発 栗栖正充先生(東京電機大) 開発した機構は,二つの固定永久磁石間で一つの可動永久磁石をモータによりスラ イドさせ,可動磁石が固定磁石に吸着する際に発生する衝撃力を利用して小型ロー バーを跳躍させる.消費電力に対して発生する力が大きく,小型化,モジュール化 が可能という特徴を持つ
とあります。
開発者の栗栖先生で検索
毎日新聞に参考となる記事がありました。
一部抜粋
栗栖教授が考案したのは、永久磁石を使った装置。固定した板状の永久磁石の間に可動式の円筒形永久磁石を 置くシンプルな仕組みだ。弱い電気を流すとモーターが作動、歯車とネジがゆっくり回転して、円筒形磁石を一方の固定磁石から引きはがし、もう一方の磁石の方へ動かす。ある程度近づくと、円筒形磁石は「パチン」と 固定磁石に吸着する。部品は数ミリ~数十ミリだがこの時の衝撃で装置が跳びはね、ロボットが最大 約1メートル浮き上がる力になるという。
だが、課題は山ほどあった。まず重さ。ロボット全体を1.6キロに抑えつつ、実験に成功した駆動装置をすべて搭載するため、1装置の上限は なんと30グラムに設定された。500ミリリットル入りの空のペットボトルよりわずかに重い程度だ。栗栖教授は 「どうすれば最適なパフォーマンスができるか解析し、マイクログラム(100万分の1グラム)単位で設計した」と いう。
また、軽量化のため普通のプラスチックを使うと、宇宙では中の気体が抜け、たちまちボロボロに なってしまう。モーターの回転部分に塗るグリスも、真空だと全て気化してしまい、役に立たない。
検討の末、衝撃に強い「ピーク」という特殊なプラスチックをメーカーに削り出してもらい、真空状態でも 気化しない特殊なグリスを採用。金属同士が張り付かないよう金属ギアに「分子1個分」の極薄被膜を施した。
すべて160度~氷点下40度という宇宙の過酷な寒暖差の中で性能を発揮できる部品でそろえた。できあがった 駆動装置は、最大長46.4ミリ、最大幅33ミリ、高さ12ミリ。重量は電線を含め29.2グラムと、見事に30グラムを
切った。「最初にメールをもらったときには『ウソだろ?』と思ったが、今は4年後の小惑星着陸と実験が楽しみ」と 栗栖教授。「なにせ、うまくいけば世界初ですもの」と笑顔をみせた。【近藤浩之】
(5大学が協力して製作した「ミネルバ2-2」=東北大提供)
地球上じゃなくて「りゅうぐう」上でしょうが、1m浮き上がると書かれています。
(なお「りゅうぐう」の重力は、地球の8万分の1なので、地球上では0.0125mmとなります。)
さらに検索すると 「特許第6086361号」として出願されています。
そこに説明図がありました。
なるほど、ちょっと自作で問題なのは「直動スライドブロック」ですね。この機構は「ボールねじ」や「リニアスライド」あるいは「リードスクリー」としてデルタ型を除く3Dプリンタではおなじみの機構なんですが、高い加工精度が必要で、わりと小まめなメンテナンスも必要となります。
「イチジク」で実現するには
よく考えたらこれも「イチジク」ですね。これを参考につくるには部品点数も多くて、意外と複雑だったので、今日明日で作るにはちょっと難しいと思います。なのでSG90を使った単純な機構を考えてみます。
つづく
Amazon情報
3Dプリンタの部品はこんな感じ。
これなんかは、ステッピングモーターだけど大きさ的には丁度良さそう。
(安いけど20個もいらんな。)