中野島ロボット

小さなロボットの自作記事を書いています。

週刊中ロボ63 突然ですが「はやぶさ2」を作ります! その12 モデル修正3

最近話題のはやぶさ2を印刷しました。綺麗に印刷できるまでのモデルの修正方法を書いて行きます。

f:id:nakarobo:20190629115503p:plain

 

最後に

「はやぶさ2」の最初の印刷の失敗から、モデルを修正してきましたが、いつの間にかファイルが大きくなってしまっていることがありますが、それは必要以上にモデルが複雑になっているのかもしれません。そんな時の対処方を書いておきます。

 

ノズル径と精度 

0.4mmのノズルで造形するなら、0.2mm程度が安定して造形できる線の細さの限界です。3Dモデルが細かく分割されていると、ファイルサイズが大きくなったり、ソフトの動作が重く、遅くなったりします。また、3Dモデルが複雑になっているので、スライサーソフトでスライスするときに、綺麗にスライスできなかったり、間違ってしまったり、モデルが壊れてしまったりすることがあります。
なので、予め印刷するモデルのサイズが決まっているときや、小さな3Dモデルの場合は、部品が必要以上に細かく分割されている必要はありません。

 

カスタム部品に交換

Microsoft 3D Builder の基本図形は、意外とポリゴンを多く使っているので、これをカスタムで作成した部品に交換して行きます。

「はやぶさ2」のモデルの1.5mmのターゲットマーカー5個などに、基本図形を使っている場合は、カスタムで作成した球に変更する事で、大きく面(=ポリゴン)数を減らすことができます。

ちなみにポリゴンとは、3角形の面で、3Dデータの最小単位です。四角形の面は三角形のポリゴン二つで構成されています。三角形の形を変える事や小さく分割することで、複雑な面も表現できるのです。

ここがポイント!
特に球や円筒などの、曲線を持つ基本部品は、小さなモデルで扱うには、複雑すぎる形状です。

  

単純化

Microsoft 3D Builderで3Dモデルを開いて、必要以上に複雑になっている部分を選択して、編集ー>単純化 を選択します。面=ポリゴンの数を印刷した時にあらが目立たないくらいに減らして行きます。”低減レベル”のスライダーを動かして面数を減らし、”面を減らす〇”を押して確定します。
 今の図形がどの程度の面数で構成されているかは、編集ー>単純化で面数が表示されるので判ります。

ここがポイント!
 3Dモデルを単純化する場合は、2mmなら10分割、つまり0.2mm単位で十分ですが、その半分の0.1mm単位にしておけば、多少サイズの調整を行う事になってもそう困る事はないと思います。

 

比較する

基本の球とカスタムで作成した球と、単純化した場合で、どのくらいポリゴン数が違うかを比べてみましょう。

左 単純化 216 中 基本 5120 右 カスタム 180 

f:id:nakarobo:20190629114823p:plain

ミリ単位の単純な球であれば、単純化でも、カスタムでもどちらでもこの程度で十分な場合も多いと思います。ただ、両端のモデルをよくみると微妙にポリゴンの形状が違いますが、印刷した場合はヘッドの動きが変わり微妙に影響が出る場合があります。

一気に変更

部品レベルで単純化しなくても、3Dモデルが全部でき上がってからまとめて単純化することもできます。「はやぶさ2」のモデルで実行してみましょう。
単純化前:アンテナやサンプラホーンのポリゴンが細かく面の個数は9508です。

f:id:nakarobo:20190629115554p:plain

単純化後:面の個数は1700まで減りました。

f:id:nakarobo:20190629115503p:plain

この程度くらいに減らしても、今回の小さな「はやぶさ2」の3Dモデルなら印刷するのに十分な精度だと思います。

ここがポイント!
良く見ないと、ほんとに重要な部分が単純化され過ぎて、省略されている場合もあるので、”面をは減らす”を押して確定する前に、良くモデルを回して確認することが必要です。
 

単純化もほどほどに
最終的に大きく印刷する可能性がある場合は、単純化はほどほどにしておきます。そうしないと、大きくしたときにガタガタのモデルが印刷されることになり、再度その部分を作り直すことになってしまいます。
また、3Dプリンタが正確に動作した場合に、曲面が直線で構成されるので、スライサー後の形状が変わり、スライサーの設定や精度の設定で、綺麗に印刷が出なかったり、造形物の反射の具合が変わる場合もありますので、ほどほどに止めておきます。

 

元にもどすには
単純化し過ぎた場合は、編集ー>スムーズを使います。スムーズ1としてエッジのスムージングをONにすれば、綺麗な図形になります。

f:id:nakarobo:20190629120422p:plain

面の数は4倍の720になりましたが、これくらいにするとそこそこ拡大しても綺麗に印刷されると思います。

ここがポイント!
複雑なモデルを単純化して確定してしまった場合は、スムーズで元に戻らない場合もあるので、こまめに保存しておきましょう。

 

モデル修正終了
これで「はやぶさ2」の3Dモデルの修正は終了です。

 

つづく

 

購入品情報
このくらい小さいモデルだと、粘り気のあるPLAカーボンでは綺麗に印刷できないようです。普通のPLA(強化ではない)フィラメントの方が良いと思います。
中野島ロボットのお勧めは、このフィラメントです。(ちょっと高いですが、綺麗に印刷されます。)