中野島ロボット

小さなロボットの自作記事を書いています。

週刊中ロボ60 PLAカーボンフィラメント その4

少し前に買っていたPLAカーボンフィラメントの評価を行います。自作の3Dプリンタ Rostock Nanoで確認しています。

 

つづき

カーボン繊維風のモデルを印刷しながら、印刷設定を調整してみます。

www.thingiverse.com

このモデルの標準は、0.5mmノズルで、0.1mm積層で、印刷速度は10mm/sec以下だそうですが、これだと5cm✖5cmのサイズでも、30分以上かかるようです。

 

なお、PETGカーボンフィラメントの印刷したときの結果はここにあります。 

www.nakarobo.com

 この時のPETGの設定は、

 温度 225℃
 品質 0.1mm

 速度 30mm/sec

 インフィル 100%

でした。

 今回のPLAの設定も温度以外はこの辺りから始めてみます。

 温度 205℃
 品質 0.1mm

 速度 30mm/sec

 インフィル 0%

 (!)インフィルはこのモデルだと外皮厚より積層厚が薄いので、100%でも0%でも同じになります。

 f:id:nakarobo:20190609104856p:plain

ここから条件を変えて印刷して見て行きます。

 

テスト開始

 0.5mmのノズルを搭載しているデルタ型プリンタ のRostockNano 二号機で、このモデルの推奨設定で印刷してみましたが、スカスカになってしまい綺麗に印刷できませんでした。よく見るとフィラメントが細かく切れており、印刷速度がこれだけ遅いと吐出量が少なくなり、まともに印刷できないようです。もう少し速度を上げて、ヘッドからのフィラメントの吐出量を増やす等、印刷の設定条件を変えながら、綺麗に印刷できる設定を探って行きます。

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 温度

このフィラメントの推奨温度は、210℃~240℃ですが、実際にはヘッドの温度と温度計の指示値には違いがあるので、205℃から印刷してみます。

 205℃  スカスカです。
 210℃ スカスカです。
 225℃ まあまあです。
 230℃ まあまあですが、225℃より少し スカスカしています。
 240℃ プチプチ音がして、少し焦げ臭いです。スカスカしています。

このPLAカーボンフィラメントは、225℃から230℃くらいが良さそうです。

 

厚み

0.1mmだと薄すぎて、どうしてもムラになるので、綺麗にできる厚みを探してみます。 50mm✖50mmの印刷物を指でまげて見ます。

 0.1mm まあまあです。
  ところどころ薄い部分があります。180度くらい良く曲がります。
 0.15mm 造形はだいぶ良くなりました。
  まだ90度くらいなら曲げられます。
 0.2mm 隙間がなくなりました。
  まだやわらかいので、なんとか曲げられますが30度くらいです
 0.25mm だいぶかたくなりました。
  少ししなる程度です。そう5度くらい
 0.3mm かなり硬いです。
  ほとんどしなりません。

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 0.15mmならこのくらいまで曲がります。

モデルにもよると思いますが、0.2mm程度の厚みが安定するようです。 

 

速度

速度が遅いとうまく印刷できません。炭素繊維が入っているので、フィラメントに粘りがあり、速度が遅いのが良くないのかもしれません。速度を変えて印刷してみます。

 30mm/sec ぶつぶつ切れています。
 40mm/sec 少しぶつぶつ切れています。
 50mm/sec きれいです。
 75mm/sec とてもきれいです。
 100mm/sec とてもきれいです。

このPLAカーボンフィラメントの場合は、ある程度速度をつけて、吐出量を多くした方が綺麗に印刷できるようです。

 

最終的には

Z軸をスライサーで2倍にして、以下の設定が良さそうです。

 温度 225℃
 品質 0.20mm

 速度 100mm/sec

 インフィル 0%

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印刷結果

この設定なら、綺麗に印刷できます。印刷時間も短く出来ます。
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 0.20mmだと、印刷後のカーボン布の柔軟性はなくなりますが、直線的な外装に使う予定なので、この程度で良いかもしれません。

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これなら隙間も殆ど無く、 高価なカーボンフィラメントの使用量も抑えられるので、ロボットの外装の軽量化もできると思います。 

 
つづく

 

購入品情報

3000円~4000円の範囲のPLAカーボンフィラメントの選択肢が増えましたね。