idbox!からRostockを作る Day9 調整
はじめに
デルタ型の3Dプリンターの最終調整を行います。
デルタ型の3Dプリンタの調整はどれもほとんど同じです。
3本ある柱の垂直キャリッジの高さを均等に調整し、エンドストップとベッドの距離を均等にします。
後は垂直キャリッジの高さ調整ネジとファームウェアで微調整を行って終了となります。
1.調整用スクリプトの準備
ベッドの高さを調整用に以下の設定を、Repetier-Hostのプリンタ設定のスクリプトに登録します。
Script1 (ベッドの中心)
G1 X0 Y0 Z0.5
Script 2 (奥の柱に一番近い中心から50㎜の位置)
G1 X0 Y50 Z0.5
Script 3 (左の柱に一番近い中心から50㎜の位置)
G1 X-43.3 Y-25 Z0.5
Script 4 (右の柱に一番近い中心から50㎜の位置)
G1 X43.3 Y-25 Z0.5
Script 5 (ヘッドを1㎜上げて、各柱を一周する)
G1 X0 Y0 Z1
G1 X0 Y50 Z1
G1 X-43.3 Y-25 Z1
G1 X43.3 Y-25 Z1
G1 X0 Y50 Z1
G1 X0 Y0 Z1
プリンタに接続し、プリンタ操作画面の番号を順番に押して、正しく動作するか確認してみて下さい。
2.ベッドの高さ調整
はじめは垂直キャリッジの調整用ネジは締めこんでおきます。
Repetier-Hostのプリンタ操作画面でホームボタンを押した後に、Z軸を下げて行き、Z軸がゼロになったら、ノズルの先端からベッドまでの高さを定規で計ります。
それをFWとプリンタ設定に入れて、再度調整を行い、スクリプト1の位置がベッドの中心で触れるか触れない程度になるように徐々に調整して行きます。
中心が合ったら、三本の柱の根本にヘッドをスクリプトの2から順に動かし、各軸が同じ高さになるように、各垂直ロッドのネジを緩めて、エンドプーリーの位置を調整します。
ここでは三軸の根本の高さが揃っていることが大切で、センターと合っていなくても、この後ファームウェアで調整するので大丈夫です。
3.筐体の本締め
今まで仮止めだったネジを本締めにして行きます。
まずは、下ビームと上ビームをそれぞれモーターエンドとプーリーエンドに固定します。
ここで、再度ベッドの高さ調整を行います。
次に垂直ロッドをモーターエンドとプーリーエンドに固定します。
ここで、再度ベッドの高さ調整を行います。
4.微調整
垂直キャリッジの高さの微調整は垂直キャリッジのネジで行い、三本の柱とベッドの距離が同じになるように調整します。
三本の根本位置と、センターの高さが違うようなら、Marlinのパラメータを調整します。
// 数値を増やすと、サイドが上がる(センターは殆どそのまま)1mm増やすと0.25mm程度変わる
#define DELTA_SMOOTH_ROD_OFFSET 108.5
1㎜ずつ増減して、中心と3本の柱の根本位置が0.2㎜以下になるように調整します。
ここを変えると高さも変わるので、再度高さ調整を行います。
5.印刷構造の設定
RostockNano用の印刷設定は三種類を設定して使い分けています。
基本となるのは Model で通常の印刷用設定です。
Structure 壁厚を厚くして強度のある構造体を作成するのに使用します。
Test テスト用の印刷設定です。スカートを出力しないようにしています。
6.フィラメントの設定
RostockNano用のフィラメントの基本設定は以下のように設定します。
フィラメントはサインスマートに合わせていますが、他のメーカのものを利用する場合もこれをベースとして微調整を行っています。
PLA
PETG
7.テストパターンの印刷
3D Builderで、立方体を20㎜に縮小してSTL形式で出力し、Repetaier-Hostに読み込んで印刷します。
印刷設定は、Modelの
品質 0.2㎜
速度 50㎜/sec
フィルレート 25%
材質 PLA
です。もし印刷したモデルが歪んでいるなら、筐体にゆがみが無いか確認して下さい。
もし印刷物のX、Y方向のサイズが品質設定の0.2㎜以上く違うようなら、ファームウェアの
#define DELTA_DIAGONAL_ROD 141.0
で調整します。 1.0㎜増やすと造形物が大体0.2㎜小さくなります。
ここを調整すると、高さや三軸とセンターのバランスも崩れるので、再度調整を行います。
8.最大サイズの印刷
同様に120㎜の幅1mm高さ1mmの薄いリング造形し印刷します。
(注意)この印刷は完璧に調整ができていないと、薄いリングが定着せずにうまくいきません。
当分は7.までの調整で十分です。
印刷設定は、TESTの
品質 0.2㎜
速度 30㎜/sec
フィルレート 25%
材質 PLA
とします。TESTはスカートを出力しないので、ギリギリまで印刷できます。
半径50㎜を超えた場合は、スライス時に警告がでますが、”いいえ”とすると、スライスして印刷できるようになります。
(以外に地味な作業ですが、これで調整は終わりです。Rostock型はベッドが動かないので、一度調整が終わればそんなにずれることはありません。微調整は垂直キャリッジのネジだけでほとんどの場合OKになります。)
メモ
・デルタ型の3Dプリンターの調整は、垂直キャリッジの高さを揃えること。
・垂直キャリッジとベッドを水平にすること。
・微調整は垂直キャリッジの調整ネジとFWの変更で行う。
・ヘッドとベッドの高さ調整はゼロにする。
・最後は印刷してサイズを確認し再度調整する。
用語集
スクリプト:3Dプリンターを動かすGコードを登録しておき、ボタン一つで送る仕組み